2019年3月31日 広告費という実験について

3月31日(日) ※4月2日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
『野球』はスポーツとしての利用者よりも「喩え」としての利用者の方が多いと思っているキングコング西野です。

本題に入る前に。。
少人数での交流会のチケットをとりあえず押さえるだけ押さえておいて、キャンセルされる方が時々いらっしゃいます。
おかげで、来れるハズの方が来れなくなってしまいますので、くたばってください。

 
さて。

そろそろお気づきかもしれませんが、皆様のおかげで「二塁打」ぐらいのヒットであれば10割の確率で打てるようになりました。
二塁打を確実に打つための方法論”が存在するというわけですね。

二塁打を打ちたければ、その方法論に乗っかればいいだけの話なのですが、「老い」が存在する以上、ヒットになる確率は今は10割でも、続けていくうちに9割、8割…と下がっていきます。

そうなった時に「確実に2塁打を打つ方法」でしかバットを振っていなかった人間は、他の振り方を知らず、他の方法でヒットを埋めず、まもなく引退に追いやられます。

野球の素晴らしいところは、「『打率3割』でそこそこ誉められる」という点で、裏を返すと、7割も実験できちゃいます。

この辺は僕も野球を見習っていて、スタッフさんにはよく「この方法でヒットが生めることは確認できたんだから、もう辞めよう」と言っては、苦い顔をされます。
二塁打なんていつでも打てるんだから、今、打たなくてもいいじゃん」が西野の言い分です。

それが顕著に出るのが「広告費の使い方」です。

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『チックタック ~約束の時計台~』の広告費は何に使うか?
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本の印税は1円も要らなくて、基本的に、僕の本の印税は「広告効果を調べる為の実験費」に充てています。

これまでも、新宿駅の看板を買ったり、新聞の一面を買ったり、ゆりかもめ(モノレールみたいなやつ)を全車両ジャックしたり……その都度都度で“広告効果”を見ては、「ココにこれぐらいのお金を使うと、これぐらいの反応が出るんだなぁ」と勉強させてもらっています。

んでもって、新宿駅の看板や、新聞の一面や、ゆりかもめの全車両ジャックの広告効果(結構、効果は大きかったよ)はもう確認できたので、今回の『チックタック ~約束の時計台~』の広告費は別のことに使おうと思っています。

今、考えているのは「絵本の読み聞かせ動画(YouTube)」の制作ですね。

プロの声優さんか、可能であれば、のん(能年玲奈)サンにお願いして、絵本『チックタック ~約束の時計台~』を朗読していただこうかと。

もちろん、BGMから何から何まで本気で作り込みます。

この広告で、どれだけの成果が出るかは未知数ですが、どちらに転んでもデータがとれた時点でプラスです。
空振りしてベンチに帰っている時は、「なるほど。あそこは打てないんだな。よし、分かった」と思っているので、まったく落ち込んでいないっす。
ときどき、「ざまあww」とか「ドンマイ」とか言われるのですが、僕は1ミリも失敗してねぇです。

今日は、「西野が新しい広告を仕掛ける時は『確認作業』なので、良い結果であれ、悪い結果であれ、結果さえ出れば成功」ということを皆さんと共有しておきたいと思いました。

とりあえず、のんサンを口説いてきます。

現場からは以上でーす。

2019年3月30日 素人だろうがプロだろうがお客さんのことを意識しろ!

3月30日(土) ※4月1日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
昨夜、ゾイド(恐竜型ロボット)のパイロットに選ばれて興奮した夢を見て、それが夢だと気づかなかった自分に絶望しているキングコング西野です。

さて。

このオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』には、上場企業の社長からホームレスまで、様々な方が在籍しています。
システムエンジニアさんと主婦もいて、仕事内容も違えば、使用する言語も全然違います。

このことを受けて、「発信する内容に合わせて、別々のサロンを作っちゃえば?」というアドバイスもいただきました。
西野亮廣エンタメ研究所(ビジネス版)』『西野亮廣エンタメ研究所(ファン版)』みたいな感じで。

たしかに、そうやって分けた方が僕にとっても、サロンメンバーにとっても、ストレスなく運営できるのかもしれませんが(いや、確実にできると思います)、僕は、その提案をお断りしました。

少し昨日の話の続きにもなりますが、僕が提供するエンタメのコンセプトが「みんなで作る」だからです。
『全員クリエイター、全員オーディエンス』です。

エンタメで世界のトップをとった時の打ち上げの場で、天才クリエイターと一般の親子が肩を並べていたら最高です。
小学1年生の男の子が『えんとつ町のプペル美術館』を指して「これは僕が作ったんだよ」と言っていたら最高です。

僕は、その未来を迎えに行きたいので、プロだけで話を進めるつもりは毛頭ありません。
たとえ時間がかかっても、爺ちゃんや婆ちゃんや父ちゃんや母ちゃんや息子や娘と一緒にエンタメを作っていこうと思います。

でも、だからといって「素人さんが混じっているから」を言い訳にはしたくなくて、お客様からお金と時間を頂戴してエンタメを提供する以上は、主婦が混じっていようが、子供が混じっていようが、ハイクオリティーのものを提供していきたいです。

それだけに、これまでエンタメを作った経験がない人からすると僕の要求は重いものになってしまうかもしれません。
少し耳の痛い話をしてしまうかもしれません。
ですが、必ず面白い場所にお連れするので、耳を傾けていただけると嬉しいです。

今日は『自分のエゴで素材を殺すな』というテーマについて話し合い、ルールを共有しておこうと思います。

※一枚目の画像をクリックして、あとは下に向かっスクロールしていってください。

写真の説明はありません。
①コチラは『えんとつ町のプペル』の【素材】です。
ご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、この【素材】の著作権はフリーで、たとえば『えんとつ町のプペル 光る絵本展』を開催される方は、この【素材】を自由に使っていただいて構いません。
写真の説明はありません。
②コチラは、とある地方の『えんとつ町のプペル 光る絵本展』の入り口の看板。
スタッフが手作りでゼロから看板を作ってしまったせいで、予算がかさみ、イベントのクオリティーがグッと落ちてしまっています。

当然、これで「やったー!看板ができたー!」と喜んでいるのは素人の運営スタッフだけで、アカの他人である「お客さん」からすると、「高いお金を払って、中学生の文化祭のような出し物を見せられる」といった状態。

当然、ここでの評判は他の地域に広がります。
えんとつ町のプペル展に行ったけど、内輪ノリで、気持ちが悪かったよ」と。

結論、「なんで、素材をそのまま使わないの? 手を加えたことによって、運営スタッフ以外全員が不幸になってんじゃん」です。

ここで、皆さんと共有しておきたいのは、「自分達の満足度よりも、お客さんの満足度をとろうよ」です。
画像に含まれている可能性があるもの:1人、テキスト
③これは、5月に開催される講演会のポスター。
撮影スタジオでプロが撮ったプロフィール写真です。
当然、この写真の【素材】は著作権フリーです。
画像に含まれている可能性があるもの:1人、テキスト
④そして、こちらが同じく5月に開催される講演会のポスター。
主催者が自分達で撮った写真を使って、「自分達なりのオシャレ」を練り込んでしまったせいで、ご覧のとおり「ファン以外は喜ばないクオリティー」に仕上がっております

ここもやっぱり考えなきゃいけないのは、「自分達の調理の腕前」と「食材」のバランスで、そこを把握しておかないと、「新鮮な魚にケチャップマヨネーズをかけて、調理をすればするほどマズくなる」という事態に陥ります。

この仕事もやはり、喜んでいるのは運営スタッフだけで、お客さんは後回しです。
写真の説明はありません。
⑤こちらは世界観が作り込まれたスナック『CANDY』川西店
写真の説明はありません。
⑥こちらは『えんとつ町のプペル』の【素材】。
もちろん著作権フリー。
写真の説明はありません。
⑦そして、コチラが、スナック『CANDY』の壁に貼られたポスター。。

ポスターに関しては、使える素材を使わずに、子供に絵を描かせて、クオリティーをグッと下げ、イベントの不安感をグッと上げてしまっています。
このポスターも喜んでいるのは、ポスター制作をしたスタッフと、絵を描いた子供の親だけで、内輪ノリが前面に出てしまって、お客さんの満足度は後回し。

そして、そのポスターを貼ることの是非もありますが、それより何より「貼り方」です。
せっかく作り込んだ建物の世界観を丸潰しで、これがやれてしまうということは、「世界観を潰している」という自覚かない。
画像に含まれている可能性があるもの:夜、屋外
これまでエンタメを提供したことがない人間は、少しでも気を抜くと、すぐに「内輪ノリ」に走り、そして自分達が「内輪ノリ」に走っている自覚がありません。

でもね。

「みんなで一緒にエンタメを作る」と決めた以上、僕はここと向き合い続けなきゃいけないと思っています。

「自分達のことばかりじゃなくて、もっともっと、お客さんのことを想像してくれよ!お客さんは期待に胸を膨らませてやって来てくれるんだよ!スタッフのオナニーは辞めて、お客さんをめいっぱい満足させようよっ!」という台詞は、これから数千回、数万回言い続けることになると思います。

でもそれは、決して、内輪ノリに走ってしまったスタッフを攻撃しているわけではなくて、そのまま内輪ノリを続けてしまうと、そのスタッフが食っていけなくなるから言っています。

そして、これは僕からのお願いなのですが…

近くにいると見えにくい部分もあるし、言いにくい部分もあるけど、なにより目の前にいるスタッフを守ってあげなくちゃいけないのだから、スタッフが内輪ノリに走っている場面に出くわした場合は、みんなで指摘し合いませんか

その方が優しいじゃん。

指摘されたスタッフは、それを声を真摯に受け止め、間違っていれば改善すればいいし、そこに考えがあれば意見をすればいい。
とにかく僕らはもっともっと話し合わないと、このままだと素人のエンタメごっこで終わってしまう。

そんなものに興味ないでしょ?
僕らはエンタメで世界を獲るんだから。

宜しくお願い致します。

最後に一つ約束して欲しいことがあります。
僕がこうして実例をあげて、「これは違う!」としてしまうと、文章だから温度も伝わらないし、場合によっては非難しているように読み取れてしまいます。
決して非難しているわけではありませんが、でも、指摘されちゃった側からすると少し傷ついてしまうと思うので、改善する方向で話を進めつつも、皆でフォローしていただけると嬉しいです。

仲間がどれだけ間違っても、僕は一人も置いてきぼりにするつもりがありません。
表面上の優しさではなく、“仲間が死にかけていたら殴って止めてやる”本当の意味で優しいチームでありたいです

現場からは以上でーす。

 

2019年3月29日 お客さんにミッキーマウスになってもらうエンタメ

3月29日(金) ※3月31日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
もう4月になろうとしているのにこの寒さ。「今回こそは春が来ないんじゃないか?」と不安になっているキングコング西野です。

さて。
毎日、仮説&検証を繰り返して、当たったりハズレたりしています。

今朝のブログに書きましたが…よくよく考えてみると、僕らがポスターを作ったり、ポスター貼ったりしている、その目的は「より多くの人にポスターがき見られること」です。
であれば、「より多くの人にポスターが刷られた方がイイ」わけですから、『チックタック ~約束の時計台~』の販促ポスターのデータを公に出してみました。
(※販促=購買意欲を促す)

販促ポスターであろうと、その作家や作品にファンがいれば、その中には、部屋に貼りたい人もいれば、自身の店に貼りたい人もいれば、新作の宣伝に協力したい人もいるわけで…そう考えると、「どうしてこれまで販促ポスターのデータをオープンにしていなかったのだろう?」とすら思えてきます。
とこかに「販促ポスター=コンテンツ提供者側が作り物」という意識があったのだと思います。
もっともっと頭を柔らかくせにゃならんですね。

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You’re the star
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僕はディズニーが大好きなのですが、大好きだからこそ「超えよう」と思います。

んでもって、超えるからには、ディズニーが打ち出している競技で競争してはダメで、まったく別競技、別コンセプトを打ち出す必要があると思っています。

そこで、僕が作っているエンタメのコンセプトは、「You’re the star」で、つまるところ、「お客さんにミッキーマウスを見せるエンタメ」ではなく、「お客さんにミッキーマウスになってもらうエンタメ」です。

主役は「お客さん」です。

このコンセプトでエンタメを再構築していくと、たとえば、『情報解禁日』という(作り手とお客さんを分離してしまう)概念がそもそも「You’re the star」のコンセプトから外れていることが浮き彫りになり、「そっか。だったら、『情報解禁日』とか辞めちゃおう!」という判断に至ります。

今回の「ポスターのデータ」にしてもそうです。

コンセプトを明確に打ち出し、「僕らは、こういうルールでやっている!」と胸を張って言っていくには、コンセプトから外れたアクションは、“たとえ売り上げが上がろうとも”やっちゃダメで、それで言うと最近は、「僕らには『着ぐるみ』が要らないんじゃないか?」と思っています。

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着ぐるみ=主役
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その空間に『着ぐるみ』という主役がいる以上、お客さんは主役になれず、お客さんは「主役を見守る人」になってしまいます。

『着ぐるみ』さえあれば、キャラクターとのツーショット撮影も提供できるし、キャラクターショーだってできます。

逆に『着ぐるみ』がいないと、提供できるエンタメの手数は圧倒的に減ってしまいます。

ですが、「『You’re the star』を謳うなら、その勝負は仕掛けなきゃいけないんじゃないか?」と思い始めています。

つまり、「『えんとつ町のプペル美術館』から、プペルの『着ぐるみ』を外して、その逆境の中で、お客さんを満足させるアイデアを思いつかなきゃいけないんじゃないの?」です。

目先の売り上げなんかよりも、コンセプトを大切にした方が良くて、その角度からでしか世界のエンタメなんて獲れないと思っています。

「『えんとつ町のブペル美術館』にプペルやルビッチの『着ぐるみ』がいれば、子供が喜んでくれることは容易に想像できるのですが、そこに逃げるのは辞めて、僕らは僕らのコンセプト(世界観)の中で、『着ぐるみ』に代わる、お客さんを主役にする新しいエンタメを探しませんか?」という提案です。

こんなこと言っておいて、半年後に「やっぱ『着ぐるみ』は必要!」とか言い出したらゴメンね(*^^*)

現場からは以上でーす。

2019年3月28日 思い出=事実+補完した記憶

3月28日(木) ※3月30日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
今日は朝の7時前から、けんすうサンとLINEで「西野のポコチンには宇宙人に拐われたときに埋め込まれた紋章がある!」という話で盛り上がってしまい、ふと我にかえって、死にたくなっているキングコング西野(38歳)です。
探さないでください。

さて。

これは僕に限った話ではなくて、お客さん商売をしている人全員に通じる話だと思うのですが、僕らの仕事は「リピーター」が生まれないと回りません。
その為には「前に行った西野のイベント、楽しかったなぁ」と思い出してもらわなきゃいけないし、当たり前ですが、そこで思い出す思い出は、なるべく楽しい方がイイです。

リピーターを生む為には…

①思い出してもらわなきゃいけない!
②思い出してもらう思い出は、なるべく楽しい方がイイ!

この二つをクリアしなきゃいけないわけですね。

①に関しては、以前お話ししましたね(根性で記事を遡ってください)。
イベント会場の匂いを一つにして(ディズニーランドなら『キャラメルポップコーン』)、イベント会場の音楽を一つに絞る。

すると、日常で、その匂いや音楽が流れた時に、ふと思い出します。
「そういえば、前にディズニーランドに行ったのは、2年前か…そろそろ行こうかな」といった具合に。
思い出させる装置としての「匂い」や「音楽」ですね。

ここまでの話が①ですね。
そして、ここから②「思い出してもらう思い出はなるべく楽しい方がイイ!」という当たり前のことについての僕の考えをお話しします。

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『思い出』って何だ?
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エンターテイメントにおいて、僕が一番興味があるのは「記憶の補完」です。

たとえば、メチャクチャ仲の良い友達のA君と行った沖縄旅行で、天候は決して『晴天』とは呼べない、少し曇り気味。
でも、メチャクチャ仲の良い友達との旅行だから、何をしても楽しくて、結果として「A君と行った沖縄がメチャクチャ楽しかった」という感想を持った。

これが何年か経つと、「A君と行った沖縄旅行がメチャクチャ楽しかった」という情報だけが残り、もはや当日の天気のことなど覚えちゃいない。

そして、そこから更に時間が経つと、「沖縄旅行が楽しかった=天気は晴れ」という記憶補正がかかり、結果、事実を変えてしまう。

ここで面白いのは、僕たちは「どこからどこまでが事実で、どこからどこまでが補完した記憶なのか?」の区別がつかないということ。

つまり『思い出』というのは、「事実」ではなくて、「事実+補完した記憶」ですね(*^^*)

僕らエンターテイナーで現場で提供できるのは「事実」です。
この「事実」のクオリティーを上げることは当然やった上で、「思い出してもらう『思い出』はなるべく楽しい方がイイ」わけですから、「補完してもらう記憶」のクオリティーも上げた方がいいですね。

たとえば。

先日、日本橋三越でサロンメンバー30人と『呑み会』があったんです。
この『呑み会』の思い出を、より良い『思い出』にしてもらう為に、(僕は仕事の都合で参加できませんでしたが)「2次会に行きたい人は、2次会に行きたい人同士で集まって、一緒に行っちゃってくださーい」と案内したんです。

んでもって、その2次会が盛り上がれば盛り上がるほど、お客さんの中で数ヵ月後に「記憶の補完」が発動して、キングコング西野がいた1次会(呑み会)までもが楽しくなるわけですから、お客さん同士の距離が縮まって、2次会が盛り上がるように参加者全員に『名札』を用意してみました。

こういった「補完する記憶」も丁寧にデザインすることが、リピーターの獲得に繋がると思います。

現場からは以上でーす。

【追伸】

添付した画像は5月に出る『新・魔法のコンパス』の表紙イラスト(ラフ)です。

https://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E3%83%BB%E9…/…/4048964550

2019年3月27日 圧倒的な赤字が出てしまう企画が面白い

3月27日(水) ※3月29日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
昨年、会社のお金で美術館の土地を買ってしまい、「2019年3月までは1円も使うな!会社が潰れるぞ!」とスタッフさんから鬼のようにキレられて、この3月でようやく解禁になったと思ったら、今朝、「お金を使うな月間を再開します!」という問答無用のお達しがきたキングコング西野です。
#再開が早い

さて。
どういうわけかウチの会社にはお金がありません。
いや、「どういうわけか」は嘘です。原因は明白です。
入ってきたお金をメチャクチャ使っているから、お金が無いのです。

『ほんやのポンチョ』を作ったり、
『チックタック ~約束の時計台~』を作ったり、
Webサービスを作ったり、運営したり、
えんとつ町のプペル美術館』の土地を買ったり…とにもかくにも、入ってきたお金は全額エンタメにブチ込んでいます。
くわえて、クラウドファンディングやオンラインサロンで日本一目立っているので、税金まわりもメチャクチャ綺麗にしております(つまり、税金をメチャクチャ払わせてもらっております)。

おかげで生活レベルは高校時代となんら変わらないのですが、もともと贅沢の類いには一切興味がないので、全然構いません。
コンビニの蕎麦と缶ハイボールさえあれば、幸せです。

しかしスタッフさんはそうはいきません。
「西野がプライベートで節制すれば済む」という程度のピンチじゃないからです。
会社ごと潰れるピンチが頻繁にやってくるのです。

とくに今回の個展(4月28日~5月12日)は、計画当初は制作費が1500万円だったものが、もろもろ重なって4000万円をオーバーする見込み。
昨夜、田村Pから「クラウドファンディングのリターン(西野の講演会)を追加するぞ!」と慌てて連絡がありました。
どうやら、相当ピンチのようです。
田村P、頑張れ!

(※西野の講演会を開催できる権利を追加しました↓)
https://silkhat.yoshimoto.co.jp/projects/592

でも、だからといって、やはり入場料を大きくとるつもりは僕にはなくて、4000万円を回収するつもりなど毛頭ありません。
入場料は大人500円、子供無料です。

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予算を回収できない企画に手を出す
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僕が、このような赤字人間になってしまったのは、絵本『えんとつ町のプペル』の構想を練っていた頃まで遡ります。

「世の中に存在しないような企画は何だろう?」と考えに考えた挙げ句、「企画会議段階でソッコーで落とされる企画」と結論し、「企画会議段階でソッコーで落とされる企画って、何だろう?」と考えに考えた挙げ句、「誰がどう見たって、圧倒的な赤字が見込めてしまう企画」と結論しました。

「『えんとつ町のプペル』はどうすれば圧倒的に赤字になるだろう?」というところから考えて、『分業制』に至り、あんな絵本が完成したわけです。

予算を管理するスタッフさんからすると、たまったもんじゃありませんが、僕はよく「このまま普通にやると赤字にならない企画を、どうすれば赤字にできるか?」ということを考えます。

今回の個展なんてまさにそうで、シンプルに光る絵本だけを展示していれば回収できたところを、「満願寺そのものを光らせよう。そして入場料は、あんまり取らないでおこう!」とか言い出したものですから、凄まじい赤字が誕生することとなりました。

スタッフさんには申し訳ないですが、僕個人的には結構ニヤニヤしちゃっていて、というのも、こんな無駄なことを誰もやらないからです。
つまるところ、

「圧倒的赤字企画には競合がいない」

です。

全員がコスパを求めている時代にコスパを求めるなんてコスパが悪すぎて、とにかく今は「面白い」に針を合わせた方が良い。
そこさえブレなければ後で何とでもなる(スタッフさんが何とかしてくれる)と思っています。
そんなことを続けているうちに、国内最大となったこのオンラインサロンが良い例かもしれません。

赤字の中にアイデアは眠っていて、今は、クラウドファンディングやオンラインサロンといった「赤字人間を生かしてくれる装置」があるので、『赤字』で検索をして、「これ、メチャクチャ赤字が出るけど、メチャクチャ面白い」という企画を掘り起こしてみるのもいいかもしれません。
副作用として、スタッフさんからブチギレられますが、オススメです。

現場からは以上でーす。

【追伸】
3月31日に20人限定で呑み会(東京)を開催します。会場はスナック「CANDY」です。

こちらにら絵本『チックタック ~約束の時計台~』が30冊付いていますが、メルカリで売ってもらっても構いません。
むしろ、転売された方が売り場面積が増えるし、宣伝になるしイイじゃんって思っています。

もちろん、お友達にプレゼントしてもらっても。
(プレゼントしてもらえるのは嬉しい)

http://nishino.thebase.in/items/18697071

2019年3月24日 近畿大学卒業式スピーチの裏側

3月24日(日) ※3月26日以降は『いいね』を押さないでください。
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こんにちは。
カジサックのYouTubeチャンネルを見ていて、すっかりオンラインサロンの記事の投稿が遅くなってしまったキングコング西野です。

さて。

昨日の近畿大学の卒業式のスピーチが話題です。
まもなく近大のYouTubeチャンネルにもアップされて、また少しザワザワすると思います。

(※『近畿大学卒業式 キングコング西野 伝説のスピーチ全文』=https://ameblo.jp/nishino-akihiro/entry-12449260616.html)

今回、近畿大学からスピーチの依頼を受けた時に、仕事として受けたからには「後世に残るスピーチ」をしようと決めました。

今日は、近畿大学のスピーチの裏側について、お話ししたいと思います。
上のブログ記事を、まだ読まれていない方は、先に、そっちを読んでください。

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計算されていたスピーチ
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まず、決めたのはスピーチの構成ですね。

①過去のドジエピソードで笑いを取る
②「過去は変えられるから、この世界に失敗など存在しない」と言う。
③「だから、挑戦しよう」で締める。

ザックリと、この三段階です。
ドジエピソードで笑いをとって、過去が変えられることを8000人のお客さんの目の前で証明するのですが、これ、結構な人がスルーしちゃってますが、このエピソードトークの全打席で爆笑をとらないと、今回の構成(①②③)は破綻しちゃうわけです。

「ほらね。笑いになったでしょ?」という構成なので。

つまり、絶対に笑いを取らなくちゃいけなかったわけです。
ここが今回のスピーチの一番の勝負ですね。

エピソードトークで笑いを取るのは、そこそこ得意な方なのですが、今回は卒業式。
しかも僕の出番は式の一番最後。
僕の前には、それなりにお堅い空気が1時間ほど流れていて、会場は冷えきっております。
ここに、エピソードトークをぶつけるのはあまりにも危険です。

というわけで、まずは会場を温める為に、ニュースにもなりました「登場のやり直し」を頭に持っていきました。

僕が「登場をやり直します!」と言って、笑い声が起こった後、オープニングVTRが始まるまでに間が空いてしまうと、また会場が冷えてしまうので、前日の夜にイベントのスタッフさんには「登場をやり直しますので、すぐにオープニングVTRを出せる準備をしておいてください」とキチンと根回し。

オープニングVTRを出すタイミングも、細かく指示しておきました。

近大のスタッフさんに事前に発注していたのは、この「再登場時のオープニングVTRをすぐに出せるようにしておくこと」と、そしてもう一つ。

「観客席にマイクを仕込んでおくこと」です。

これは去年の又吉くんのスピーチをYouTubeで見たときに、すぐに動きました。

せっかく又吉君が面白い話をして、お客さんも笑っているのに、笑い声を録っていないから、映像だと又吉君がスベっているように見えたのです。

映像&卒業式のスタッフに、バラエティー畑のプロがいないのだと判断して、すぐにマネージャーを通じて近大のスタッフさんに「当日は、観客席に、観客の声を録音するマイクを設置してください」とお願いしました。

近大のスピーチは必ずYouTubeにあげられるので、映像作品としてのクオリティーも考えながら、お仕事を進めなければなりません。

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まとめます
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【事前に決めていた構成】
①登場のやり直し
②過去のドジエピソードで笑いを取る
③「過去は変えられるから、この世界に失敗など存在しない」と言う。
④「だから、挑戦しよう」で締める。

【事前に用意していたこと】
①再登場時のオープニングVTRのスタンバイ
②観客席に映像用のマイクを仕込む

ザックリとこんな感じっすね。
エピソードトークのネタに関しては、出たとこ勝負です。
エピソードトークのネタまで決め決めでいってしまうと、会場の雰囲気とフィットしない場合があるので、会場のウケを見ながら「これだったら、このエピソードだな」という感じでネタを選び、全打席で爆笑をとりました。

これがプロの仕事です。
どうやらプロというのは、遊ぶところは遊んで、根回しをするところは根回しをするようですね。
ちなみに根回しをするには圧倒的な想像力が必要で、圧倒的な想像力を持つには、圧倒的な経験が必要です。
だから、プロなのです。

現場からは以上でーす。

【追伸】

4月25日に20人限定の呑み会(東京)を開催します。
こちらには絵本『チックタック ~約束の時計台~』が30冊付いてきます。
メルカリとかで売ってもらっても大丈夫でーす!

http://nishino.thebase.in/items/18622037